会社設立時に注意すべき15のこと
会社設立時に注意すべきこと
株式会社や合同会社の設立時に注意すべき事をまとめています。
会社設立前にしかできないこともあります(!)ので、十分にご注意ください。
1.資本金は1,000万円「未満」に! 消費税免除!
会社設立の資本金は、1,000万円「未満」にすることをお勧めしています。
なぜなら、資本金が1,000万円未満の会社は、消費税の納税義務が当初1~2期の間免除されるからです。
取引の規模によってはかなり大きな金額になります。
「資本金1,000万円未満」と聞いて、「株式会社というのは、資本金の最低額が1,000万円ではないのか」とお考えになった人もいるかもしれません。
平成17年に施行された新会社法により、株式会社の設立に資本金の制限はなくなりました。極端にいえば、資本金1円でも株式会社を設立できるようになったのです。
なお、新会社法が施行される平成17年以前においても、確認株式会社という制度をつかうことにより、資本金1,000万円未満でも株式会社を設立することはできました。しかし、確認株式会社という制度は、「1,000万円未満で株式会社を設立することはできるが、数年以内に資本金を1,000万円に増資しなければならない」等の条件があるものでしたので、現在、資本金1,000万円未満の株式会社設立が認められていることとは、まったく異なる制度です。
2.事業年度の設定で消費税が変わる!?
上述のとおり、資本金が1,000万円未満の会社は、会社設立後、消費税が免税される期間があります。
どれくらいの期間免税されるかという点については、「事業年度の定め方」や「売上」または「給与支払金額」等の複数の要素によって決まります。
単純に「切りがいいので12月末決算にしよう」とか「上場会社のように3月末決算にしよう」ということで決定してしまうと、後日、消費税の支払時期になって後悔することにもなりかねませんので、注意が必要です。
※注1
平成23年に消費税法が改正されておりますのでご注意下さい。改正前は、資本金1,000万円未満の会社は設立後「2期」は消費税が免税されていましたが、改正後の税法によりますと、2期目から課税されることもあります。
※注2
事業年度末というのは消費税の免税だけを判断基準として決めるべきものではありませんので、その他の要素も十分にご検討されるのがベターです(その他の判断材料としては、「売上の多い月を期の前半にもってくるようにする(じっくり節税できる)」、「顧問税理士が暇な時期に決算期をあわせる(節税対策等に十分時間をさいてもらえる)」)。
3.助成金の事前届けをしておくこと!
雇用保険の受給資格を有する人が起業・創業する場合、受給資格者創業支援助成金(自立就業支援助成金)という制度が用意されています。
これは、簡単に言うと、開業に要した費用の3分の1相当について国が現金を支給してくれるというものです。最大150万円まで助成を受けることができます。
大変素晴らしい制度ですが、一点重大な注意事項があります。
それは、会社設立登記申請前に、「法人等設立事前届」を提出しておく必要があるということです。
ハローワークにいけば、申請書の雛形や手続きの説明を受けることができますので、ぜひ一度相談に行ってみて下さい。
なお、「受給資格者」が対象ですので、退職前の人や退職はしたけどまだ受給資格を得る手続きをしていない人は対象となりませんのでご注意ください。
また、受給資格者であれば誰でもが助成を受けることができるというものではありません。複数の助成条件があり、それら全てを満たしている必要があります。それらの条件につきましてもハローワークで説明を受けることができますので、すでに失業保険等を受給中の受給資格者はぜひ一度相談にいってみてください。
4.将来する事業も定款の「事業目的」に入れておく!?
定款には会社の「事業目的」というものを登記します。
当該会社の事業内容を記載したものですが、設立後すぐに行う事業だけでなく、将来行う可能性のある事業も初めから入れておくという方法もあります。
というのも、「事業目的」の追加や変更には1回につき、収入印紙代が30,000円、専門家費用が約30,000~40,000円(事務所によって異なります)、合計約60,000~70,000円もの費用が必要となるためです。
例えば、とりあえず「飲食店業」だけをする場合でも、近い将来、飲食店に対する経営コンサルティング業も行うということであれば「飲食店に対する経営コンサルティング業」という目的もあらかじめいれておくことを検討しましょう。
ただし、融資を受けることを予定されている場合は注意が必要です。
本業とは関係のない業種が「事業目的」に並んでいると、融資するかどうかの審査で若干マイナスポイントになるという人もいます。また、日本政策金融公庫には貸出対象業種というものがありますので、それ以外の業種(貸金業や風俗業等)ですと融資を受けることはできません。
なお、事業を開始するには免許や許可が必要となる業種、例えば、不動産売買や賃貸の仲介業、建設業、人材派遣業などについても、事前に入れておくことは可能です。
5.本店所在場所を自宅で、本店移転登記費用を節約!?
会社設立の際、「本店所在場所」を登記する必要があります。
「本店所在場所」は住所の変更がある度に、登記手続きをする必要があります。
この本店移転登記は結構費用がかかるものでして、他の法務局管轄へ移転する場合には、専門家報酬も含めると10万円以上かかることもあります。
ですので、もし会社設立後、営業所(事務所)を複数回移転する可能性があり、逆に自宅は現在の住所に定住することを決めてらっしゃる場合などは、自宅を本店所在場所として登記することで登記費用を節約する方法なども検討していただくとよいかもしれません。
※注
本店である自宅と事業所とが別の市にある場合には、法人住民税の均等割が二重に課せられる可能性があります。専門家(税理士等)に事前にご確認ください。
※注
ご自宅がマンション等共同住宅の場合、ご自宅を会社の本店所在場所として登記するにあたっては、本店として登記することがマンション管理規約等に違反していないか等をご確認いただく必要があるかと思います。
6.日本政策金融公庫の新創業融資は「自己資金の」2倍まで!
日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)の新規創業融資を検討されている方も多いかと思います。
ご存じ無い方のために説明しますと、この制度は、日本政策金融公庫が実施している創業支援制度でして、1,500万円という上限はあるものの、場合によっては無担保・無保証で(事業計画次第では、代表取締役さえも保証人にならなくてよいことがあります)、しかも創業まもない企業に対して融資をしてくれるというものです。
新規創業の会社に対しては、通常は、民間の都銀や地銀は貸してくれませんので、この融資制度が多く利用されています。
しかし、ひとつ重要な条件があります。
それは、「自己資金の2倍までしか貸してくれない」ということです。
公庫が融資条件を記載した書面などを見ますと、「必要な資金の3分の1の自己資金が必要です」とあると思いますが、つまりは自己資金の2倍までしか貸しませんよということなのです。
従いまして、現在自己資金が全く無い方は「新創業融資」を利用することはできません。
*なお、第三者保証人(第三者とは「生計を同一にしていない人」をいいます。)をたてたり、不動産担保を提供することによって、自己資金の2倍以上の融資を受けることが可能となることもあります。
7.出資比率3分の2以上を確保する!
もしあなたが、会社を自分の思いどおりにできる状態を確保しようと思っているなら、出資比率の3分の2以上は確保しておいてください。
過半数では足りません。
定款の変更決議その他重要事項の決定については、出資比率の3分の2以上を求められることが多いのです。
例えば、資本金500万円の会社を設立するのであれば、あなたは500万×2/3=333.3万、つまり334万円以上の出資をしておくべきでしょう。
*もしご自身の出資額を大きくこえる出資を他人から受ける場合には(例えば、ご自身は300万円を出資、第三者から600万円を出資してもらう場合)、「無議決権株式」という種類株式を使うことにより、ご自身の会社に対する支配力を保持することができます。
8.取締役人数の過半数を確保する!
また、同族で会社を支配したいということが希望であれば、取締役人数の過半数を同族で占めておくことも必要です。
これに対して、「いや、どうせ株式は全部持っているのだから謀反をする外部取締役がいれば解任すればいい」ということを言われる方もありますが、取締役の解任というのはそれほど簡単なものではありません。
解任決議は簡単にできますが、解任に理由がないことを主張され役員報酬相当額の損害賠償請求をされる可能性があったり、解任の登記手続きに必要な書類がそろわなかったりということがあるからです。
様々な要素を検討のうえ、取締役の構成は考えましょう。
9.安易に家族を取締役にいれない!
節税等のために実質的には事業に関与していない家族(専業主婦の方など)を取締役として登記している場合があります。
確かに役員にしておくと、非常勤取締役ということで役員報酬を渡しやすく、所得分散になり節税という効果はあるかもしれません。
しかし、取締役というものは、社会に対して責任を負う存在です。他の取締役の業務や会社全体の業務の適性を監督する責任があります。もし会社が不祥事を起こした場合、「私は名前を貸していただけです」ではすまないこともあります。
その点について十分に説明の上、取締役就任の承諾を得ることができているのであれば問題ありません。
しかし、そうでないなら、あなたの会社の業務についてその人の責任問題となる可能性もあるわけですから、やはり「節税のため」という理由で安易に名前を借りるべきではないでしょう。
10.株式の譲渡制限は必須!!
自社の株式を譲渡する際に「会社の承諾を要するかどうか」、これを定款で決めておくことができます。
この点、中小企業はほぼ100%、「会社の承諾を要する」としています。
というのも、「株式譲渡に際して会社の承諾を要する株式会社」については、様々な点で規制が緩和されるためです。
取締役の人数が1人でもよかったり、株券を発行しなくてよかったり、役員の任期を10年に伸ばせたり、株主総会の開催手続きを簡略化できたりというメリットがあるのです。
よほど特別な理由がない限り、株式の譲渡制限は必須です。
11.定款の本店所在地の記載は「兵庫県神戸市」まで!
上記のとおり、法務局には「兵庫県神戸市中央区○○町○番○号」まで登記されることになりますが、会社の定款は「兵庫県神戸市」までの記載で認められています。
特別な理由が無い限り、「兵庫県神戸市」まででOKです。
「○番○号」まで書いてしまうと、本店移転の都度、株主総会を開いて定款を変更する必要があります。株主総会議事録や定款再作成等の費用がかかることもあります。
様々な中小企業の定款を見ていますと、「○番○号」まで書いているものも頻繁に見かけます。
ぜひご注意ください。
12.皆がやらない決算公告を「逆に」やってみる!
株式会社というのは、毎事業年度、貸借対照表について公告をしなくてはならないと会社法で定められています。法律によって「株式会社」という信用を与えられるかわりに、債権者や株主等の利害関係人に会社の状態を透明にすることが趣旨です。
しかし、中小企業のほとんどはこれを行っていません。
「公告を行わない企業に対しては過料を処す」という規定があるにもかかわらず行われていません。
この状況を逆に「他がやっていないなら差別化になる。自社の法令遵守姿勢をアピールするチャンス」ととらえて積極的に公告を行っている事実を発表していく、という戦略は効果があるのではないかと思います。
私からするとそのような企業はぜひ応援したくなります。
ぜひご検討いただければと思います。
13.あえて監査役を置いてみる。
株式会社の役職として、「監査役」というものがあります。
これは文字通り、取締役の業務執行や会計について監査をする役割をもつ役職です。
昔は(商法時代は)、株式会社というと必ず最低1名の監査役を選任しなくてはなりませんでした。
しかし、平成18年に施行された会社法により、株式の譲渡制限がされている株式会社については、監査役無しでもOKとされました。
結果、その後に作られたほとんどの会社には監査役が存在しないという現状となっています。
これは、上記「決算公告」と同じく、差別化につかえるものでしょう。
つまり、逆にあえて「監査役を置く」という選択をすることで、他社と違い、社内の業務執行の適法性等について意識の高い会社であることをアピールできるということです。自社ウェブサイトやパンフレット上で熱く語ればよいでしょう。
監査役を置くことで特別に費用はかかりません。
ぜひご検討いただければと思います。
14.定款「会社の目的」は許認可に注意する!
許認可が必要な業種については、定款の「会社の目的」の記載に注意が必要です。
許認可の申請にあたっては、「会社の目的」に必ずいれておかないといけない「文言」というものがあるからです。もれていた場合には、再度定款変更の登記申請が必要となり、司法書士報酬も含めると登記費用が6万円程度かかります。
会社設立前にしっかりと行政監督庁に問い合せをしておくことで避けることができるものですので、事前調査は怠らないようにしましょう。
15.役員報酬の決め方に要注意!
取締役や監査役の報酬については、原則として一年間毎月定額でさだめなくてはなりません(事業年度開始後3ヶ月以内の変更は可能ですが)。
というのも、もし仮に年内の変動が自由に認められるのであれば、利益が出た年は年度末に役員報酬を大幅に引き上げ、法人税の節税ということが簡単にできるようになってしまうからです。
したがいまして、役員報酬の決定の際には、税理士等と打ち合わせをして決定されることをおすすめします。
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