自己破産
自己破産・免責 Q&A
自己破産・免責のメリット・デメリット早見表
メリット
- 当事務所への依頼と同時に、返済をストップできる(個人再生や任意整理も同じです)。
- 借金の全額免除を受けて再スタートすることができる(但し、税金滞納分は免除されません)。
cf 個人再生は借金の一部免除。 - 生活必需品(家電、生活費等)は残せる。
- 現金、預金も一定額は残すことができる。
- 免責を受けた後に受け取る収入については、ご自身の財産となります。
デメリット
- 原則として不動産を失う。
- ローン支払い中のものはローン会社へ返還しなければならない。
- 浪費・ギャンブル等の免責不許可事由がある場合、免責を受けることができないことがある。
※なお、実務の現状としましては、免責不許可事由がある場合でも、裁判官の裁量により、多くのケースで免責決定がでています。 - 税金滞納分の支払い義務は残る。
- 信用情報に事故情報が載ってしまう(7年程度)。
※戸籍謄本や住民票に自己破産の情報が載るわけではありません。 - 官報に掲載される。
※ただし、官報を日頃から見ている人というのは非常に少数だと思いますので、官報に載ることで会社や親族に自己破産の事実が知れてしまうということは非常に稀なケースだと思います。
自己破産とは?
自己破産は、原則として破産の決定を受けた時点での自分の財産(生活するのに必要なものを除く)を失う代わりに、すべての債務(=借金)が免除され、破産宣告以後の収入や新たに得た財産を債務の弁済に当てることなく、自由に使うことによって経済的な更生を図っていこうという制度です。
自己破産制度の目的は?
一般の人たちにとっては、自己破産と聞いただけで人間性まで否定されてしまい、その後は満足な社会生活ができないのではないかなどと考えている人もいるかもしれませんが、実際にはまったくそんなことはありません。
自己破産は借金超過で苦しんでいる人を救済し、再び立ち直るチャンスを与えるために国が作った制度です。また、平成17年1月1日施行の新破産法により自己破産制度は今まで以上に利用しやすくなりました。
自己破産申し立てまでの準備期間中の毎月の返済はどうなる?
司法書士等の専門家に自己破産申立を依頼した時点で、借金の返済はいったんストップすることができます。
というよりも、むしろ自己破産の申し立てを決意した時点から、借金の返済はしてはいけません。
自己破産を申し立てると貸金業者から訴えられない?
司法書士等に依頼してから迅速に(依頼後2~6ヶ月程度)申し立てをすれば、今のところは訴えられることはほぼありません。
貸金業者の立場からしても、自己破産を検討している人を訴えたところで、何も差し押さえるものがなく、どうせ費用倒れになることがわかっているからです。
ですので、貸金業者からの裁判をおそれて自己破産を躊躇する必要はありません。
自己破産をすることによりどんなデメリットがある?
自己破産を申し立てすることにより、一時的に以下のような不利益を受けることになります。
「一時的に」というところを強調したのは、下記の不利益は自己破産手続きが終了すれば解除されるものがほとんどだからです。
また、「官報に載る」といっても一般の人で官報に目を通している人はほとんどいないわけですから、結局は自分から言わなければ原則として会社や友人知人関係に知られることはありません。
免責さえ受けてしまえば、生きていく上での不利益は7〜10年ぐらいの間ローンやクレジットの利用ができなくなることぐらいと考えていただければよいかとおもいます。
自己破産のデメリット
1)資産価値のある財産を失う
ただし、テレビ等の家財道具は差押え禁止財産として保護される場合が多いです。
預金や生命保険についても、それぞれ20万円以下であれば(保険については解約返戻金の額について。)自由財産として手元に残すことができます。
2)連帯保証人に迷惑がかかる
3)官報に掲載される
4)破産者名簿への記載
:破産手続きが終了し、免責を得ることができれば抹消されます。
戸籍や住民票などには載りません。
5)免責許可を受けてから7年間は再び自己破産することはできない
6)免責手続き中は職業や資格の制限を受ける
:免責を得れば、制限が解除されますので、職業制限があるのは一定期間のみです。一生職業制限が続くわけでは有りません。
7)不動産(土地・マイホーム・別荘)を手放す
9)破産管財人によって郵便物が管理される
:上記のとおり、破産管財人が選任されるような破産事件の場合のみです。
10)クレジットカードを作成したりローンを組むことが難しい
:信用情報機関に事故情報が載せられますので、以後7〜10年間は
カードを作成したりローンを組んだりすることが大変難しくなり
ます。
他の制限と異なり、これだけは免責後も残ります。
自己破産申立の流れは?
1.当事務所へご来所いただき委任契約。
ご予約のうえ、ご来所ください。
着手金等の初期費用は不要ですので、安心してご来所いただけれ場と思います。
2.受任通知を相手業者へ発送。請求をストップします。
委任契約書にご署名ご捺印をいただきましたら、すぐに受任通知を発送します。
受任通知を発送することで、
- 貸金業者からの請求を止める。
- 手続き中は返済を停止することができる。毎月何万円も支払いをしていた状態からいったん解放されます。
- 貸金業者に対する今後の窓口を司法書士熊木事務所に一本化する。
という効果があります。
3.取引履歴の取寄せ
受任通知の発送と同時に、過去の取引履歴を開示するよう貸金業者に依頼します。
4.利息制限法による引き直し計算
取引履歴開示依頼から1~2ヶ月すると、取引履歴が当事務所へ送られてきます。
取引履歴到着次第、利息制限法のさだめる上限利率により、全取引を再計算します。
それにより、今の本当の借金残高が明らかになります。
5.手続き方針、返済計画の打ち合わせ
利息制限法による引き直し計算により本当の借金残高が判明しましたら、まずはやはり家計収支をしっかり見直し、返済していく債務整理手法(個人版の民事再生手続きや任意整理手続き)で解決できないかどうかを一緒に考えます。
どれだけ節約してもやはり返済していくことが難しいという結論になれば、方針を自己破産申立と確定させ準備に入ります。
6.必要書類の収集
自己破産の申立には様々な書類が必要となりますので、書類の収集をしていただきます。
- 預貯金の通帳(自分のものはすべて+水道光熱費の引落口座分)
- 給与明細(同居者全員分)
- 不動産の登記事項証明書
- 住民票(有効期限3ヶ月)
- 戸籍謄本(有効期限3ヶ月)
- 課税所得証明書(直近2年分)
- 確定申告書(自営業者)
- 家計に関する領収書(水道光熱費、電話代など)
- 生命保険、損害保険等の保険証券
- 車検証の写し
- 住居の賃貸借契約書
- 住宅ローンの金銭消費貸借契約書
- 生命保険等の解約返戻金証明書
- 不動産の見積書(不動産業者2社から取得)
- 自動車の見積書(登録から7年以上経過している自動車は不要)
などの書類が必要となります。
7.管轄の地方裁判所へ自己破産申立て
管轄の地方裁判所へ申立を行います。
必要書類の不備がある場合は、裁判所から追加提出の指示があります。
8.破産手続開始決定前の審尋(裁判官との面談)
破産手続開始決定前に、裁判官との面談日がもうけられる場合があります。
神戸地方裁判所では省略されることが多いです。
9.破産手続開始決定+同時廃止決定
審尋の数日後、昔の「破産宣告」にあたる「破産手続開始決定」がなされます。
破産者にめぼしい財産がない場合は、破産手続き終了を意味する「同時廃止の決定」が同時になされます。
10.各債権者へ通知+官報に公告
破産手通開始決定から2週間以内に、その事実が各債権者へ通知されるとともに、官報に掲載されます。
11.免責審尋
破産手続きが同時廃止により終了したあと、破産者を免責するかどうかの手続きに入ります。
ここで裁判官との面談の場がもうけられます。
破産手続開始決定前の審尋が省略された人は、この審尋で初めて裁判官と面談することになります。
面談では、多額の借金を抱えるに至った経緯などについて質問を受けたり、破産・免責制度の趣旨について説明があります。
この面談が省略される事案もあります。
12.債権者異議申述期間
債権者から異議を受付ける期間がもうけられます。
最低1ヶ月以上の期間が設定されます。
13.免責の許可・不許可の決定
債権者異議申述期間が経過したのち、裁判所から免責許可・不許可の決定がなされます。
万が一、免責不許可になった場合でも、高等裁判所に即時抗告を申立てることができ、再度審議をしてもらうことができます。
14.官報公告
免責許可決定がなされましたら、2週間以内に官報に掲載されます。
15.免責の確定・復権(つまり、「破産者」ではなくなる)
そして、官報掲載から2週間経過後に免責が確定することになります。
免責許可決定がなされれば、借金の支払い義務を免除されます。
また、資格制限などの破産者の不利益もなくなります。
必要書類
- 預貯金の通帳(自分のものはすべて+水道光熱費の引落口座分)
- 給与明細(同居者全員分)
- 不動産の登記事項証明書
- 住民票(有効期限3ヶ月)
- 戸籍謄本(有効期限3ヶ月)
- 課税所得証明書(直近2年分)
- 確定申告書(自営業者)
- 家計に関する領収書(水道光熱費、電話代など)
- 生命保険、損害保険等の保険証券
- 車検証の写し
- 住居の賃貸借契約書
- 住宅ローンの金銭消費貸借契約書
- 生命保険等の解約返戻金証明書
- 不動産の見積書(不動産業者2社から取得)
- 自動車の見積書(登録から7年以上経過している自動車は不要)
※事案に応じて、上記以外の書類が必要となることがあります。